まぜごはん
部屋の中から聞く細い雨音は、カセットテープを再生したときの、曲と曲の間のノイズのように、粗く、なめらかに、あたりを包みます。時間の流れそのものを聞いているような気分になります。
ああ、逆か。
カセットテープのノイズは、ノイズという名前だけに、不快にさせる騒音であるはずなのだけど、それでもどこか心地よいところがあるのは、雨音に似ているからなのかもしれないですね。
絹のような雨音が奏で始めるものは、いつかカセットテープから、ノイズとノイズの間で流れていた、グリーン・デイとか、オアシスとかでもなく、米米クラブとかリンドバーグでもなく、取っておいたってどうにも使い道のないような、小さい頃のつまらない思い出だったりします。
小学校のときに仲良かったやつがいて、学校が終わってからウチによく遊びにきてました。いつも夕方に帰るのが当たり前でしたが、僕は何度か引き止めたことがあります。まあもうちょっと待てよ、と。
僕はその時期「白いごはんをどうおいしく食べるか」について研究していたのでした。それで、これはいける、という食べ方を編み出したのでした。小学生の考えることですから大したものであるはずがなくて、白いご飯に、ふりかけと、鮭をほぐしたのと、鰹節かなんかを混ぜ込んで、それを味付け海苔で巻いて喰うとか、その程度のことだったはずです。
友達を引き止めて、ジャーに炊けているご飯を使ってまぜごはんを作って、喰わせてやりました。友達がうまいうまいといいながら喰ってくれて、誇らしかったのを覚えています。
何日かそんなことをしました。まぜごはんを茶碗一杯喰って、友達は自転車に乗って帰っていきました。まぜごはんの研究にも飽きて、いつの間にやら作らなくなりました。友達もいつもの時間に帰るようになりました。そいつは中学のときに転校しました。18くらいになって、偶然会ったときは、生意気にバンダナを巻いていました。それからは会っていません。
雨音で、そんなことを思い出しました。あいつはまぜごはんのことなんて、覚えてないだろうなあ。
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5月も終わりの、土曜日ですね。月日の経つのは、早い早い。有意義な週末をお過ごし下さいませー。
バリネコです。
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